2026.10.11
DX・AI活用
介護のChatGPTにプロンプト集はいらない|ほしい答えが返ってくる質問の仕方は3つ
「ChatGPTに聞いても、どこかで読んだような答えしか返ってこない」
「介護のプロンプト集を探してコピペしているけれど、しっくりこない」
「職員に『何と打てばいいですか?』と聞かれて、うまく答えられなかった」
ChatGPTを仕事で使い始めると、こんなふうに感じることはありませんか。
結論からお伝えすると、介護の仕事でChatGPTを使うのに、プロンプト集はいりません。プロンプトとは、ChatGPTに打つ文のことです。覚えてほしいのは、質問の仕方3つ。「いまの状況」「助けてほしいこと」「分からないことは質問して」を打てば、あなたの事業所に合った答えが返ってくるようになります。この記事では、その3つの書き方を、例と一緒に紹介します。
この記事でできるようになること
- ChatGPTに打つ文を、「状況・助けてほしいこと・質問して」の3つで組み立てられる
- 職員に「何と打てばいいですか?」と聞かれたとき、検索の言葉と相談の文の違いを例で見せられる
- ChatGPTからの質問に答えるのが面倒なとき、音声入力で話して答えられる
ChatGPTへの質問の仕方は3つ|状況・助けてほしいこと・「質問して」
ChatGPTに何かを頼むときは、次の3つを書いてください。
1. いまの状況を説明する
事業所の種類、あなたの立場、いつ・誰と・何があったのかを書きます
2. 助けてほしいことを具体的に書く
「文章を作ってほしい」「話す順番を一緒に考えてほしい」のように、してほしいことを書きます
3. 分からないことは、ChatGPTから質問してもらう
最後に「あなたが正確な回答をするために、ほしい情報はありますか?」と打ちます

コピペして使うなら、この型を1つ持っておいてください。( )の中を、その日の仕事に合わせて書き換えます。
(事業所の種類)の(あなたの立場)です。
(いつ、誰と、何があったか)。
(してほしいこと)をお願いします。
あなたが正確な回答をするために、ほしい情報はありますか?あれば、先に質問してください。
3つの中で、見落とされやすいのが3つ目です。何を伝えれば自分に合った答えになるのかは、ChatGPTに聞いてみないと分かりません。人に相談するときも、相手から「それはいつの話?」「誰に言われたの?」と聞かれて、はじめて話がかみ合いますよね。ChatGPTへの相談も同じなんです。
私は、AIを使い始めたころから、この頼み方をしています。AIと話がかみ合わないときに、「前提がそろっていないんだろうな」と感じたのがきっかけでした。
とはいえ、質問の仕方を変えても、ChatGPTが的外れな答えを返してくることはあります。そんなときに「やっぱりAIは使えない」とがっかりしてしまうのは、もったいないんです。間違えたあとにどう伝えれば次から減らせるのかは、別の記事で紹介しています。
では、なぜこの3つを書かないと、ほしい答えが返ってこないのでしょうか。
「クレーム 対応」と打つと、なぜ一般的な答えしか返ってこないのか
助けてほしいことを、いままでのネット検索のように単語だけで打つと、ChatGPTは、誰にでも当てはまる一般的な答えを返します。
私が支援している事業所の管理者が、分からないことをChatGPTで調べようとして、入力欄に「クレーム 対応」と打っていました。Google検索に入れる言葉と、同じ打ち方です。これは、ChatGPTを使い始めた人の多くがやっていることなんです。
Googleは、打った言葉が載っているページを探して、一覧で見せてくれる検索ツールです。言葉を2つ並べるだけで、探している内容に近いページを一覧で表示してくれます。
ChatGPTの仕組みは、これとは違います。ChatGPTは、本や記事など、ものすごい量の文章を前もって読み込んで、言葉のつながり方を学んでいます。質問を受けると、どこかにある答えを探してくるのではなく、学んだつながり方をもとに「この言葉の次には、この言葉が来そうだ」と予測しながら、1語ずつ文を組み立てていきます。ChatGPTにもネットで調べる機能はありますが、調べた内容をもとに答えの文を組み立てるのは、ChatGPT自身です。
この予測の手がかりになるのが、あなたが打った文です。手がかりが「クレーム」と「対応」の2語だけだと、誰からの、どんなクレームなのかが分かりません。そうなると、ChatGPTは、読み込んできた文章の中でいちばんよく出てくる「クレーム対応」の話を組み立てます。それが、どの仕事にも当てはまる一般的な手順なんです。
職場の先輩に、いきなり「クレーム、対応」とだけ言ったら、先輩は「誰から?何があったの?」と聞き返すはずです。ChatGPTは、聞き返さずに、いったん答えを作ってしまいます。それが「どこかで読んだような答え」の正体です。
あなたの事業所の職員が「ChatGPTはあまり役に立たない」と話していたら、まず、何と打ったのかを見せてもらってください。
そこで、同じクレームの場面で、質問の仕方3つ(状況・助けてほしいこと・「質問して」の一文)を入れて打つと、どう変わるのかを見てみましょう。
例で比べる|検索の言葉と、3つを入れた質問
この3つを入れると、ChatGPTに打つ文は長くなります。その分、返ってくる答えが、より一層、あなたの事業所に合った話になります。
検索の言葉で打った場合
「クレーム 対応」
→ 「まず謝る、話を最後まで聞く、事実を確認する」のような、どの仕事にも当てはまる手順が返ってきやすい
3つを入れた場合
「デイサービスの管理者です。昨日、ご家族から『送迎の時間が毎回ちがって困る』と電話がありました。送迎を担当した職員から、事情は聞いてあります。明日、こちらからご家族に電話をして説明します。どんな順番で、何を話せばいいか、一緒に考えてください。あなたが正確な回答をするために、ほしい情報はありますか?あれば、先に質問してください。」

最後に「ほしい情報はありますか?」の一文を添えて送ると、ChatGPTはすぐに答えを出さずに、先にあなたへ質問を返してきます。たとえば、「送迎の時間は、実際にどのくらいずれていましたか」「ご家族がいちばん困っていたのは、どんなことですか」「今後、送迎の時間をどう変える予定ですか」といった質問です。これに答えていくと、ChatGPTはあなたの事業所とそのご家族の事情を知ったうえで、話す順番を組み立ててくれます。
ただし、返ってきた答えを、そのままご家族に話したり送ったりするのはおすすめしません。
ChatGPTが作った文には、丁寧すぎる言葉づかいや、ふだんのあなたなら使わない言い回しが混ざります。そのまま使うと、受け取った人は「いつもと感じが違う」と気づくものです。
ChatGPTの答えは、あくまでたたき台です。何を話すのかを決めて、最後にあなたの言葉で文章を整える。ここは、人がやる仕事です。
私がAIによく頼むのは、ご家族あてのお知らせ文です。そのときも、状況を説明して、助けてほしいことを具体的に書いています。
「今日、ご利用者のお宅を定期訪問しました。そのときの内容を共有するので、ご家族あてにお知らせする文章を作ってください。」
状況を書くときは、利用者さんやご家族のお名前など、個人が特定できる情報を入れないでください。事業所として決めておくルールは、別の記事で紹介しています。
「状況と言われても、何から書けばいいか分からない」と感じたら、オンラインで30分、あなたの事業所の仕事を1つ題材にして、質問の文を一緒に作ってみます。
介護のプロンプト集を探さなくていい理由
ここまで読んで、「介護の仕事ごとに、プロンプトの見本がほしい」と感じた方もいるかもしれません。それでも、プロンプト集は探さなくていいと考えています。私自身、プロンプト集を使ったことがありません。
理由は、プロンプト集の文が、誰でも使えるように作られているからです。誰でも使える文には、あなたの事業所のことが書かれていません。事業所のことが書かれていない文を打てば、ChatGPTも一般的な答えを返します。「クレーム 対応」と打ったときと、同じことが起きるんです。これは私の持論です。
それよりも、面倒でも、いまの状況をしっかり説明して、何をしてほしいかを相談する。私は、このやり方がいちばんよいと考えています。コピペするのは、最初に紹介した型1つにしてください。ご家族へのお知らせ文でも、ほかの事業所への連絡文でも、文章を作る仕事なら、同じ型がそのまま使えます。
もしプロンプト集の文を使うなら、そのまま打たずに、あなたの事業所の状況を書き加えてから使ってください。
とはいえ、状況を説明するのも、ChatGPTからの質問に答えるのも、正直に言うと手間がかかります。では、面倒なときはどうすればいいのでしょうか。
ChatGPTからの質問に答えるのが面倒なときは、音声入力で話す
面倒なときは、キーボードで打たずに、声で話して答えてください。
正直に言うと、私も、AIからの質問に答えるのが面倒なことがあります。質問は、少ないときで1〜3個、多いときは10個くらい返ってきます。面倒なのは、キーボードで打つことです。頭で考えていることを文字にするのは、手間がかかりますよね。質問に答えず、「気にしなくて大丈夫」とだけ返して、先に進めたこともあります。
答えなかったところは、AIが推測で埋めることになります。だから、面倒でもグッとこらえて、しっかり説明するようにしています。それでも打つのがつらいときは、音声入力を使ってみてください。
1. スマホでChatGPTを開く
2. 入力欄を押して、キーボードを出す
3. キーボードにあるマイクのマークを押す
4. 状況や、質問への答えを、そのまま話す
5. 文字になったら、読み返してから送る
きれいな文にする必要はありません。話し言葉のままで、ChatGPTには伝わります。質問が多いと感じたら、「大事なものから3つにしぼって質問して」と頼むこともできます。
それでも、毎回、状況をいちから説明するのは大変だと感じた方もいるはずです。では、説明を短くする方法はあるのでしょうか。
書き方のルールを覚えてもらうと、説明が短くなる
毎回同じ説明になる「書き方のルール」は、ChatGPTに覚えてもらえば、次から説明が短くなります。
新しく入った職員に、仕事を頼むときを思い浮かべてください。最初は、記録の書き方を細かく説明しますよね。慣れてくると、「いつもの形でお願い」で通じるようになります。ChatGPTも、書き方のルールを先に渡しておけば、同じように頼めます。
私は、支援経過などの記録の文を作るときの書き方のルールを、AIに保存してもらっています。保存してからは、書き方についての質問がAIから返ってこなくなりました。いま打っているのは、「今日、誰と、何があったか」という、その日の状況です。
ChatGPTなら、「カスタム指示」という欄に、書き方のルールを書いておけます。設定の場所と書き方は、別の記事で紹介しています。
AIに覚えてもらうのは、あくまで「文の書き方のルール」まで。利用者さんの情報は、どれだけ便利になるとしても、絶対に保存させません。AIに振り回されるのではなく、どこまで覚えてもらうかは、私が自分で決めています。
それでも、AIからの質問がゼロになるわけではありません。「ご本人の話ですか、ご家族の話ですか」のように、その場にいた人にしか答えられない質問は、何度でも返ってきます。そこに答えられるのは、その日、そのとき、利用者さんの声をいちばん近くで聞いた人だけです。
では、この質問の仕方を職員みんなが覚えると、事業所の時間とお金はどう変わるのでしょうか。
質問の仕方がそろうと、パソコンに向かう時間が減る
職員みんなが3つを書いて質問するようになると、パソコンに向かう時間が減ります。
検索の言葉で打つと、一般的な答えが返ってきて、「これじゃない」と打ち直すことになります。打ち直しても合わなければ、最後は自分で文を書き直します。最初から状況と助けてほしいことを書いておけば、この打ち直しと書き直しが少なくなるんです。
パソコンに向かっている時間には、人件費がかかっています。その時間が減れば、同じ人数のまま、利用者さんと向き合う時間に回せます。管理者にとっても、職員から「何と打てばいいですか?」と聞かれるたびに、仕事ごとの文を考えて教える手間がなくなるはずです。「この3つを書いてみて」と、どの仕事でも同じ言葉で教えられるからです。教える時間も、人件費そのものです。
いつも検索している言葉を1つ、相談の文に変えてみる
最初の一歩は、いつもGoogleで検索している言葉を1つ、ChatGPTへの相談の文に変えてみることです。
1. いつも検索している言葉を1つ選ぶ(例:「ヒヤリハット 書き方」)
2. その言葉を調べたくなった「いまの状況」を書く
3. 「助けてほしいこと」を書く
4. 最後に「あなたが正確な回答をするために、ほしい情報はありますか?」と打って送る
ChatGPTから質問が返ってきたら、分かる範囲で答えてみてください。検索の言葉を打っていたときとは、ちがう答えが返ってくるはずです。あなたが慣れたら、職員にも同じ3つを伝えてください。自分でやってみて難しければ、一緒にやります。
うちの職員も、ほしい答えを引き出せるようになりますか?
求人の文で、この質問の仕方を試したい方へ
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こんな課題を解決します
- ●地域に信頼される事業所を作りたい
- ●業務効率を上げ、スタッフ間の連携を強化したい
- ●新たに介護事業を始めたい
- ●紙業務をデジタル化し、IT環境を整備したい